もう少し、丁寧にデータを吟味した議論を望む

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妹尾昌俊氏の記事である。内田氏と共に、この話題で飯を食っている人だ。

 

ふざけた議論をする中教審委員もしている。

 

以下に、この記事での氏の主張を書き出してみるが長いので、直接上記の記事を見るか、最後に、論点だけピックアップしたものをのせる。

 

 妹尾氏の主張は、結局何を言いたいのかわからない。問題があることを提起して終わりなのである。具体的な、解決策のたたき台すら書いていない。

 

 私は、あえて、氏が中央教育審議会の委員という立場からの発言に注目したい。つまり、文科省の意見を代表する者としての意見である。

 

文科省の腹積もり】

 文科省は、給特法を改正し、残業代など払うことができないことは100も承知なのだ。4%をあげる事すら無理とわかっている。できるだけ、予算増にならずに、改革をしているふりをしたいのである。その代弁者が妹尾氏なのだ。

 

「公立学校の教師にも残業代をちゃんと払うようにしたらよい、はわたしは考えていないがこの点は大いに議論したい)、ただ、いまの制度、処遇でいいとも思わない。しっかりプロとして誇れる仕事をしているのに、時間外については対価がほとんど出ていないというのは、おかしいからだ。」

 

 まず、読んでいて文章が自己矛盾している。「残業代を払うべきとは考えていない」と書いておきながら、そのすぐ後に「時間外については対価がほとんど出ていないというのは、おかしいからだ。」と述べている。

 普通の人は、この文章を読んだら、「時間外労働の対価がほとんど出てないのはおかしいというなら、残業代を支払えという意見なのでは」と思うだろう、労働者として時間外労働の対価が、残業代以外のものとはどのようなものなのだろう?メーカーなら自社の商品もないことはないが、具体的に示してももらわないとおかしな文章にしか思えない。

 また、上記の発言からして、文科省の犬であることが伺える。そうみられてくないのなら、代案を示せと言われても仕方がない。「この点は大いに議論したい」と補足するのは、委員という立場上(教員の味方のふり)のためにも議論はするが、結論は、予算増になるようなものにはしないよと。。。

 

 このように矛盾する内容を、これだけ短い文章に書いているのである。

 

 内田氏とともに、いつも自分に都合の良いアンケートや意見だけを並べて、でも、実現可能な、持続可能な具体策を出せない人たちなのだ。

 

自分の意見の前に、まず実態の把握を丁寧に、正確にお願いしたい。

なぜ、過労死ラインを越える、労働を残業代なしでやっても、不満に思わない先生がいるのか、

また、逆に、大した残業もしていないのに、授業以外は教員の仕事でない(当然部活も含む)と不満をいう人たちもたくさんいる。(部活は教員の仕事でないが、現実、教員が担っている。なぜでしょう、そこを考えないで、ただただ、自分の仕事でないからと浅い議論にしかなっていない)

 

とにかく、表面的な建前論をベースに、現実にそぐわないことを支離滅裂に議論しているだけなのである。(確かにこれで、飯を食べているからね、、、と思われても仕方がない)

 

私の考えは、とにかく、調査、アンケートの数字のみでなぜ、ぞのような数字が出てくるのかをよく考えていない。現実の教員集団は、いろいろな価値観の人がいてばらばらな集団なのだ。

 自分は、部活動指導をしたいから教員になった。 

 自分は、生徒と触れ合いたい(生徒指導、生活指導)をしたいから教員になった。

 自分は、教科指導をしたいから教員になった。

 自分は、安定した仕事だと思って、教員になった。

 自分は、親が教員で、何の疑問もなく、自分も教員になるものと思って教員に

 自分は、、、、、

とにかく、教員になった、動機は様々であった。

 

しかし、実際の教育現場では、生活指導と部活指導ができる教員が活躍する。でも建前上、教員は授業(教科指導)が本業、それ以外は、仕事でない。と、、、

 

 教員採用でも、この建前論が幅を利かせ、生活(生徒)指導や部活指導ができない、教科しかできない人材が大量に採用されるようになり、現場でも、学力向上、授業力向上のみ話題にされ、授業スキルのみで生徒と関われない教員が大量に採用されていうことが問題なのである。

 

数字の背景にどんな思いや、人たちがいるのか吟味しない、内田、妹尾氏両氏のような、発言力はあるが、実のある提案ができないのである。

 

以下、記事の論点。

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・あ弁護士の疑問「公立学校の先生たちにプロフェッショナル意識はないのか?」

 

・公立学校の教師には残業代は出ない。

・休日の部活動指導には・・・割に合わない金額

・教育予算が少ない

・先生たちの仕事の成果等は時間で測りづらい

高度プロフェッショナル制度裁量労働制と近い制度

・冒頭の弁護士:「プロならば、当然、対価はもらうべきなのに」

・ある落語家の例・・・

・医者の例・・・

・プロフェッショナルにはプロとしての仕事に対価を払うべき。

・この感覚が、学校や教育行政には相当弱いのかもしれない。

・保護者にも、教師に対してはこの感覚は弱いのかもしれない。

・自分講演の例・・・

公立学校の教師にも残業代をちゃんと払うようにしたらよい、とはわたしは考えていないが(この点は大いに議論したい)、ただ、いまの制度、処遇でいいとも思わない。しっかりプロとして誇れる仕事をしているのに、時間外については対価がほとんど出ていないというのは、おかしいからだ。

 

・時給換算の例、時給120円(月給30万円で100時間残業)

※教職調整額は制度上、文科省の説明としては、残業手当という性格にはなっていない

 

OECDのデータから日本は公教育にお金(税金)を使っていない
長時間労働の教師も仕事へのやりがいや満足度は高い
とはいえ、おそらく、かなり多くの教師たちはこう言うかもしれない。

「わたしたちは残業代が出ようが出まいが、一生懸命児童生徒のために仕事している。」

 

・教師のプロ意識はある意味では高い。

・子どもたちへの学習指導や生徒指導(生活指導)といった点では、自分たちが(保護者に並んでかそれ以上)一番よく考えている、という自負とやりがいを感じている人は、相当多いのではないだろうか。

・教員勤務実態調査によると、「教員の仕事はやりがいがある」について、・・・、否定的な回答をする人はほとんどいなかった。

愛知教育大学等の調査(2015年実施)によると、教員の仕事について

  「子どもの成長にかかわることができる」と97~98%

  「仕事を通じて自分が成長している」も小90%、中83%、高84%が感じている。 

  「今の仕事は楽しい」小86%、中82%、高81%だ。

  いくつかの教育委員会が実施した意識調査結果・・・前述の調査と似た傾向

・プロフェッショナル意識の定義にもよるが、ある程度、教育のプロとしてのプライドなり、手応えを感じていなければ、これほどやりがいは高いという結果にはならないはずだ。

OECDの国際教員指導環境調査(TALIS)2013から日本の中学校教師について取り出したものだ(公立も私立も含む)。1週間の労働時間別にクロス集計してみた。

出所)OECD国際教員指導環境調査(TALIS)2013をもとに作成
・わたしの当初の仮説は、長時間労働の先生ほど疲れていて、仕事に対してネガティブな感情を抱いているのでは、という問題意識だった。

・だが、データをみると、あまり時間別に大きなちがいはなかったのだ。

 

実際、週60時間以上労働で過労死ラインを超えるほど働いている可能性の高い教師であっても、7~8割が仕事を楽しんでいる

長時間労働の教師でも約6割がもう一度仕事を選べるとしたら、また教師になりたい、と言っている。

※もっとも、一定の割合でネガティブで悩んでいる層がいることにも注目したい。

 

要約すると、十分な対価が払われているとは思えないものの、仕事へのやりがいや満足度が低くなっているわけではない、ということが示唆される。

しかしだ。やりがいや満足度が一定程度あるからといって、いまの処遇でいいという話ではない。意地悪な見方をすれば、”やりがい搾取”と言えるかもしれない。